自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2011.02.14

エジプト&愛知が示すもの

現在、私は中小企業でサラリーマンをしています。人材に関する仕事の企業ということもあり、他の企業の社長さんとお会いする機会も多くあります。

そんな機会に最近よくいわれることが、「政府は、BSをきれいにする議論ばかりしないで、PLを増やす・伸ばす議論をしないと駄目だ」、「儲かる体質になるために積極的に投資をしなければ・・・、それが結果的にBSの改善につながるのだから」、「あなたも政治家なのだから、役人みたいにチマチマしたことではなく、積極的な投資を考えて」といったもの。

確かにその通りで、一面の真実だと思います。とりわけ、明確な成長戦略を持たずに急速に財政再建に舵を切っている菅政権を見ていると、その思いが共有できます。

しかし、これは一面の真実でしかありません。会社の経営にあてはめれば、現在の国の借金の状況は、僅か40兆円弱の売上げに対して、その25倍に迫る銀行からの借入れ900兆円という状況です。そして、毎年借金が20兆円超のペースで新たな借金が増えている。

はっきりいって、こんな会社はどこにもありません。この状況で、社長が大がかりな新規設備投資をしようと言い出したら、しかも借金をどう返済していくかについては言及もなく言い出したら、その社長は間違いなく、株主総会で、あるいはメインバンクから駄目だしをくらうはずです。


何故国ではそれが許されると思ってしまうのか、それは、はっきりと口に出しては言いませんが、多くの人が、「最後は税金で回収できる」と思っているからです。会社でいえば、「独占企業なんだから値上げすれば済んじゃう」と直感的に感じているからです。

しかし本当にそうでしょうか・・・。近くは愛知トリプル選挙の減税指向が示したもの、エジプトの独裁政権崩壊が示したもの・・・。

民主主義国家であれ独裁国家であれ、最後にツケを回される形の民衆の力はやはり圧倒的なのです。

そう、民衆は、「最後は税金で回収できる」、恐らく経済的には正しいであろう、その理屈を許さないのです。だからといって、「民衆の怒りが爆発するのが怖い」からと先延ばしすれば、今度は間違いなく市場の怒りを買います。

昔から戦争以外の財政的要因で多くの国々が滅んできたのは、まさにこの「最後は税金で回収できる」が通じないからで、やはり日本も瀬戸際だと私は感じます。


だからこそ、脅しでも煽りでも騙しでもなく、民衆をきちっと説得できるだけの本物の政治家が必要なはずなのですが、現実には、美辞麗句、駅前パフォーマンス型の政治家があまりに多すぎる・・・。

不幸なことだと思います。