自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2011.04.10

大連立④

大連立については、自民党側の「菅総理が居残った形では無理」という至極当然の対応で、いったんブレーキがかかっています。

ただし、これまで繰り返しこのブログでも書いていたように、①当面解散総選挙ができない、②今回の大震災の影響は、直接の被災地である東北地方にとどまらず日本経済全体に及ぶ、という二つの理由で、私自身は、やはり大連立によって政権の枠組みを転換しなければ、日本の将来が危ないと思っていますので、いずれどこかの時点で、この議論は再び燃えだすと感じております。いずれどこかの時点とは、それこそ「菅総理が退陣する」ときでしょう。

そこで、大連立によって何をするのか・・・。


第一に、いきなり震災復興と離れて申し訳ありませんが、そもそも大連立が何故必要かというと、政治が不安定だからです。何故政治が不安定なのかというと、衆参のネジレがあったり、衆議院の選挙結果があまりに大きく振れたりするからです。時あたかも、国勢調査が終了し、一票の格差について最高裁の「違憲状態」判断が下されたところでもあります。

であれば、大連立については、復興支援という大義名分と表裏一体のものとして、併せて「政治制度改革」の実言を目指すものとすべきです。具体的には、大連立期間中に、①小選挙区制度の見直し、②参議院改革、③定数削減に目途をつけることです。

第二、復興財源の確保です。その際、景気の足取りがおぼつかない状況ですし、安易な臨時増税は税制の将来像をゆがめる危険がありますから、増税は極力避けるべきです。以下5点を大連立の枠組みで検討することです。

 相続税免除特典付無利子国債(購入上限・譲渡制限付き)

                   【2兆円程度×3年=6兆円】

(注)本年度より基礎控除引下げなど相続税強化の方向であり、その見合いとしての無利子国債は意味あり。

 (次項と関連するが)外為特会積立金の一部取崩し&本年度予算に盛り込まれている産投資金及び鉄運機構積立金&政策金融からの出資&民間からの出資によって、出融資機能を持つ「東北復興ファンド又は東北復興銀行」の立上げ                  【約3兆円】

 酒税&タバコ税の(1割程度)臨時引上げ  

                   【3000億円程度×3年=1兆円】

 民主党4Kの一部凍結         【2兆弱×3年=6兆円弱】

 通常の赤字国債の増発          【1.5兆円×3年=5兆円】



第三に、東北地方復興計画の策定と東北復興ファンド(銀行)の創設です。

阪神淡路の際と同様に、港湾・高速・住宅などインフラ復興は急務であり、①環境に優しいエコタウン(徹底した循環型社会)、②津波に強いハイランドタウン(高台の開拓と移住)、③人口減少に対応したコンパクトシティ、などの復興の基本構想ととともに、そのための早期補正予算編成が必要であるのは当然です。この中でも特に重要なのは、ハイランドタウンとコンパクトシティ


しかし、こうした被災地の復興は最重要ですが、今回の影響はそれをはるかに超え、東日本全体から産業基盤の流出・分散をいかに防ぐかが問われています。

福島県相馬市・南相馬市でボランティアとして活動後、東京で多くの企業トップと接すると、表の言葉とは裏腹に、東北地方からの撤退を真剣に考える企業が多いのが現実です。行き先は西日本、更にアジアへと向いています。とりわけ、外資系の逃げ足は速い。

また、大企業でなくとも世界的に重要な技術を持つ中堅・中小企業の復興をどう果たすかという大命題もあります。加えて、東北地方の基幹産業である農業・漁業の復興。



そのために、官民合同の「東北復興ファンド」あるいは東北復興銀行を組成し、投げ捨てられた工場や再建が困難となっている中堅・中小企業、耕作放棄となってしまった農地などへの投融資・再建を図るべきです(その原資は、外為特会の積立金の一部取崩し、産投原資の流用、政策金融機関の出資そして民間からの出資で賄う)。

第四に、「東北地方金融&地域・再投資&購入法」(仮称)の制定です。

被災地の復興にあたっては、初期段階は別として、初期段階を経てある程度復興が進んできた段階では、上述の東北復興ファンドなどを活用して地元の中小零細企業の再建を進めつつ、「地元の仕事は地元に落とす」の原則に基づいて、地元企業へ一定割合を発注する仕組みを作り上げるべきです。

そのために、「東北地方金融&地域・再投資&購入法(仮称)」を制定し、政府として、被災地の復興には被災地の底力を呼び戻す方針であることを明らかにしなければなりません。

第五に、日本国土の新たなグランドデザインの確立です。

上述のとおり、企業の東日本脱出の動きは速く、停電・節電が続き、福島原発の最終処理に年数を要する以上、一時的な東京の地盤沈下は避けられません。しかも、東京は直下型地震の危険性から解放されていません。


政府に問われていることは、東北地方復興計画の立案・実行とともに、危機対応としてのたな日本国土のグランドデザインを示すことです。

すなわち、危機時への対応として、①都市機能の一部分散、東京一極集中是正、②太陽光はじめ代替エネルギーへの徹底した転換いう、大きな国のグランドデザインです。


とりわけ、都市機能の一部分散、東京一極集中是正については、少なくとも同じ東京都内の多摩地域への分散から始め、最終的には、例えば、金融機能(証券取引所、日本銀行)を大阪に移転する、などかなり大胆な方向性が必要ではないでしょうか。

第六に、今回の大震災対応の問題点として多くの指摘がある点の網羅的的な反省・分析です。例えば、国家安全保障会議の法定化、個人情報保護法の見直し(ex民生委員と消防団の間の情報共有)、自治会組織充実のための公的支援、災害時の崩壊家屋に対する所有権制限(一部倒壊でも捜索のために全壊にできないetc)などなど・・・。

そして、最後に、実行組織の立上げです。

これまで述べてきた点を実際に描き、実行に移していくには、組織と人材が必要です。菅政権は、大臣ポストを3つ増やすとか、補佐官を5人増やすとか、政治家のポストのバラマキに固執していますが、本当に必要なのは、優れた政治リーダーの下で、手足となって動ける人材、しかも、前例踏襲でなく新しいことにチャレンジができる創造力を持った頭脳です。


そのために、ヤメ官僚の活用を考えるべきです。霞が関の役所体質に嫌気がさして、官僚を辞めてコンサルファームにいったもの、起業したもの、政策シンクタンクを立ち上げたもの、政策立案経験と民間のコスト感覚の両方を兼ね備えた多士済々の面々が、この国難にあって、今一度国に奉仕することを切望しています。

国家戦略室、行政刷新会議などを廃止して東北復興局を内閣府に設け、こうしたヤメ官僚を含め、50人程度の若手スタッフを財務、国交、農水、経産から招集すべきです。


の視点だと思われます。東北地方は今後急激に人口が減少していくからです。都市機能を山側にコンパクトに集中される視点が大切と思われます。