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2008.10.08

〈世界同時金融危機、危機時の財金分離〉

サブプライムローン破綻をきっかけとした米国の金融危機を受けて、世界同時株安の様相を呈してきています。ニューヨーク株式市場は下げ止まりの底が見えない状況。先日、米国で金融安定化法が成立したにもかかわらずです。その金融安定化法は、金融機関の不良債権を税金で買い取る仕組みですが・・・。税金ですから、投入額を抑えなければ国民の損失となるわけで、結果として、より安い価格で不良債権・資産を売る金融機関から優先的に買い取る「逆入札」が採用されています。国民の血税ですから、当然のことです。ただ、金融機関にとっては、損失覚悟で資産売却となりますから、最終的に金融機関は資本不足に陥る可能性が高くなります。


結局、金融機関同士が疑心暗鬼に陥り、お金の融通が利かない状況が生じ始めているわけです。信用収縮ですね・・・。この信用収縮が実態経済に大きな影響を与え、企業業績も今後悪化していく可能性が高いと思われます。


ところで、私自身、1997年からの日本の金融危機時に財務省、当時の大蔵省に在籍していましたが、その当時とよく似ています。日本は、そのとき、金融機関に資本を注入するための法律を作ったわけですが、米国においても、公的資金で思い切って資本注入ができる仕組みを早急に用意すべきでしょう。


なお、幸いなことに、かつての大恐慌の時代と異なり、国際協調体制はしっかりしています。各国中央銀行は、既にドル資金を協調して提供していますし、今週末にはG7財務大臣・中央銀行総裁会合もあります。我が国は1990年代の金融危機脱却の経験を踏まえて、米国に対して、資本注入のための新たな仕組みを用意するよう、積極的に働きかけるべきです。G7での中川昭一大臣の奮闘に期待したいと思います。


それにしても、今となっては、中川大臣が、財務大臣と金融担当大臣を兼務していて本当によかったと思います。兼務していなければ、G7で協調体制を確立しようとしても、日本の財務大臣にはその権限が半分しかないことになってしまいます。金融担当大臣の顔も持った財務大臣が出席することで、迅速な決定ができるものと思います。もちろん、財金分離の視点から平時には財務大臣と金融担当大臣は別々であるべきですが、現在のような危機時には、むしろ一体が望ましいのです。麻生総理大臣の先見の明に、ちょっと脱帽しています。

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