2008.11.15
ODAについて、コメントをいただきました。
結論からいうと、世界一位に戻るのはしばらく難しいのではないでしょうか。その前に、日本のODAは現在世界第5位に転落したと言われていますが、見方によっては世界第3位ともいえます。
どういうことかというと、国際的には、ODAは毎年新規に拠出する金額から毎年返済される額を差し引いた、つまりネットの金額で統計がとられます。この方法だと日本は大変不利になります。日本は、無償ODA(返還を求めない)より有償ODA(返還を求める貸付)を中心にODAを実施してきた国だからです。1980年代から1990年代に大量に供給した有償ODAの返済が今行われていて、とりわけ地域的に、かつて日本が一生懸命に有償ODAを拠出した東アジアの多くの国々が、その後経済発展を遂げ、今資金返済がなされているわけで、新規拠出はそれなりに継続しているのに、ネットで見るとその規模が少なくなってしまうのです。それだけ、かつて多額のODAを実施したということでもあります。
先ずは、外務省などが、国際的基準を、ネットではなくグロスに改めるよう努力すべきです。今の統計方法では、過去の多大な貢献が評価されないどころか、むしろマイナスにカウントされてしまうのですから・・・。しかも、新規ODAは世界第3位とちゃんと出し続けているのですから・・・。同時に、有償ODAの意義をしっかりと国際社会に説いていくべきです。欧米諸国による無償ODAは、いわば国際的な所得移転、社会保障のようなものですが、有償ODAには、相手国の返済努力を通じた経済発展を支援する効果があります。
ただし、その有償ODAも銀行の貸付とは異なり、超長期・超低利と貸付条件が相手国に極めて有利になっていますから、かなりの財政的負担を伴います。我が国の現在の経済・財政状態では、過去のODAの返済を大幅に上回る新規ODA供与を世界一の規模で行う余裕はしばらくないと言わざるを得ません。当面は、世界第3位の規模を維持しながら、限られたODAを、地域、分野を絞って戦略的に供給していくことが重要ではないでしょうか。そのためにも、ODAの実施一元化が重要!!
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策