自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2009.01.03

BS11: 定額給付金

新年おめでとうございます。本年が素晴らしい年になりますように・・・。

 私は、年明けから、地元神社の元旦祭への出席など、元気に楽しく始動させていただきました。そして、昨日は、BS11で、民主党の鈴木寛参議院議員や海江田万里さん、そして自民党の保坂三蔵東京都連会長代理などとの討論番組に出席しました。

 その中で、街の声として、「定額給付金はけしからん」という話が出ました。同じような声を、地元でもよくうかがいます。

 そこで、新年早々から、少々重い話題かもしれませんが、改めて定額給付金を巡る議論を整理してみたいと思います。私は、昨年来一貫して、以下のような観点から、定額給付金の効用について説明をしてきました。

 

 なお、定額給付金の一番の課題は、現場で混乱なく配布ができるかということです。その意味で、所得制限を設けるべきかどうかという議論などを巡って現場に混乱があったことは極めて遺憾なことです。一つの内閣に属する大臣が思い思いに発言をして大きな混乱を招いたことは大いに反省しなければなりません。言葉が軽すぎます

 

 そして、現場の混乱を最小限にするために、できる限り早期に第二次補正予算を成立させて、給付準備に万全を期す努力をしなければなりません。そうでなければ、給付洩れや住所ミスなどが続出しかねません。

 

<批判①:単なるバラマキだ>

 

 景気が悪くて、民間でお金が回らないときには、政府がお金を使うしかありません。ノーベル経済学賞も受賞したことのある米国のある著名な経済学者の方は、全米中にヘリコプターからお金をまくのが、最も手っ取り早く有効な景気対策だと言っているくらいです。

 ヘリコプターからまくのは極端としても、不景気のときに、皆様からお預かりしている税金を、先ずは、皆様に直接お返しするのは、いの一番にやらなければならない景気対策ではないでしょうか。政府がお金を使うしかないといっても、政府のお金は皆さんのお金、税金なのですから。

<批判②-1:他にもっと有効に使う道があるはずだ>

 もちろん、景気対策としては、様々なものがあります。

 ただし、順番としては、上述のとおり、先ず、平等に国民の皆様にお返ししたのち、第二段階として、その他の景気対策に取り組んでいくのが筋道ではないでしょうか。諸外国でも、景気対策として先ず手がつけられるのが、減税による税金のお返しです。何故ならば、景気対策として、一部の方々や部門だけでなく、すべての国民に等しく恩恵が及ぶからです。

 

 ちなみに、これまでの日本の景気対策は、一部の政治家や役人が、「景気対策」に名を借りて、道路やダムや港湾などの公共事業を積み増すものが主流でした。

 しかし、一部の人の知恵よりも、1億全国民の知恵を結集するほうが、よりよいのではないでしょうか。国民全員に定額給付金で税金をお返しし、それぞれが、各々の思いで使っていただければいいのです。ある人は、お孫さんにおもちゃを買う、ある人は家族で食事に行く、ある人は時代に備えて本を買い込む・・・、色々な使い道が出ることで、より有効な景気対策になるはずです。

<批判②-2:社会保障に回すべきだ>

 

 今回の定額給付金は景気対策のためのものです。景気対策である以上、毎年実施することはできません。景気刺激のため、大胆に一回でやりきるべきものです。だからこそ、財源も一回使ったらなくなってしまう、いわゆる「埋蔵金」を活用させていただくこととしているわけです。

 他方で、社会保障の充実は、これから何十年と恒久的に取り組むべき課題です。二者択一の議論をするようなものではありません。社会保障の充実は、安定した財源を得て、着実に取り組むべき課題です。

 

(なお、政府・与党として、社会保障費の2200億円のシーリングの実質的撤廃や、医師確保策への重点的予算配分、介護報酬の引上げなどに、取り組んでいることにも附言させていただきます。)

<批判③-給付金を配っても貯蓄に回ってしまって効果がないのではないか>

 減税と公共事業の景気刺激効果を比較すると、「公共事業の方が高い」というのが、従来の経済理論でした。減税だと一部が貯蓄に回ってしまうという理由からです。

 しかし、現在では、むしろ、公共事業について、その後の維持管理費や更新費用がかさむ、経済波及効果がかつてより落ちている、公共事業がはげ落ちた後の逆の影響がある、借金返済のためのコストがかさむ、などの問題点が指摘され、一概に減税よりも公共事業がよいとは言えないというのが、常識になりつつあります。

 

 減税でもこういう状況です。定額給付金は、納める税金を減額するのではなく、実際に税金を現金でお返ししようとするものです。減税よりも更に貯蓄に回る部分は抑えられることになりますから、十分に景気刺激効果があると考えられます。

 

 更に言えば、仮に貯蓄に回った部分があるとしても、貯蓄に回すことで将来への安心がその分増すのであれば、それも十分景気対策として効果があります。

<批判④:一人2万円弱、一家族6万円弱では意味がないのではないか>

 規模をどの程度にするかは難しい議論です。多ければ多いほど効果が大きいのはもちろんのことです。ただし、「一人2万円弱、一家族6万円弱では意味がない」という意見は、大変苦しい生活をしている多くの国民の皆さんの実感とは少し外れているのではないでしょうか。少なくとも、税金とある意味同じ公共の電波を使って巨額のお金を稼ぐような一部の司会者などが口にすべき言葉ではありません。

<批判⑤:実施するのに巨額のコストがかかる>

 

 定額給付金を実施するのに、コストがかかるのは事実です。しかし、例えば、コンピューターシステムの改訂代金、通知文の印刷代金、通知封筒の調達費用、これらのコストは、ただ単にお金を捨てるようなものではなく、受け取った人々の収入となるものです。配る方にとってはコストですが、受け取る方にとっては収入です。これ自体が一つの景気対策にもなっています。

 もちろん貴重な税金ですからコストを最小化する必要はありますが、コストがあるからやってはダメという議論は本末転倒の議論です。

 以上、私なりに論点を整理してみましたが、いずれにしても、こういう景気対策はスピードが命。閣僚の言葉がバラバラで印象を悪くした感は否めませんが、1月5日に召集される通常国会で第二次補正予算を出来る限り早期に成立させる必要があります。