2009.02.21
今回の世界同時経済危機は「欧米発」のはずなのに、日本経済の落ち込みが、例えば10~12月期で年率二桁マイナスと、突出しています。金融システムもトヨタやソニーなど大企業の財務体質も、我が国は諸外国に比べて、安定し健全であるにもかかわらず、日本経済全体としては圧倒的な落ち込みです。
これは、もう周知のことですが、日本経済が外需に依存しているためです。しかも、輸出産業である自動車や電機のすそ野である部品産業も、我が国は、国内調達の比率が比較的高くなっています。一時、「空洞化」が騒がれましたが、実際には、国内回帰がかなり進んできていたということです。
この外需依存経済を、この経済危機を契機に「内需中心の経済に」という議論が、我々政治家からもマスコミからもよく聞かれます。現在の不況の主因が「経済の外需依存」である以上、当然の帰結で、私も、講演などでは、「内需型に移行していかなければ」と訴えることが多くなっています。
ただ、自宅に戻って、夜寝る前にあらためてじっくりかんがえるたびに、「しかし、高齢社会、人口減少社会になって、内需主導経済といっても、実に難しいな」と考え込んでしまいます。
そうすると、よく聞こえてくる議論が、「医療・介護」などの社会保障分野が内需盛り上げの切り札になりうるという議論です。「なるほどな」と思うのですが、またじっくり考えると、袋小路に入ってしまいます。何故かというと、医療も介護も、公費つまり税金での負担が4割、保険料まで含めると9割が、公的ないしは共同的負担によっています。つまり、利益を追求しないことが前提になっている世界です。
アメリカで医療・介護が産業として栄えているのは、日本のように公的保険制度、皆保険制度がなく、この医療・介護も「弱肉強食の世界」、つまり利潤追求が可能な状態にあるからです。
社会保障で内需拡大という議論と、小泉改革で社会保障分野にまで市場原理を導入したのは間違いだったという議論を、どのように調和させたらいいのか、私自身はまだ回答を見つけられていません。
それでも、極端な外需依存からは脱却しなければなりません。先ずは、太陽光発電や太陽電池などの環境対応型産業による内需盛り上げ、地産地消などをテーマに農業等の第一産業盛り上げによる内需盛り上げが、ターゲットでしょうか。
加えて、中国、ASEANを含めたアジア全体を自国市場、内需と捉える戦略も不可欠です。
道のりは険しいと思いますが、もう少し、政治の場面で議論を深めたいと思います。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策