自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2009.04.23

世襲制限について ~ 広く門戸を開放を



議員世襲の問題が、最近大きな話題となっております。


私自身は、この数年間、街頭演説やチラシで訴え続けてきたように、何らかの形での世襲の制限は必要だと思っています。

何代も続いて世襲の総理しか誕生しない、あるいは与党も野党も幹部の多くが世襲、といった状況は、客観的に見てちょっと異常だと思うからです。政治の世界ほど、多種多様な人材の流入が必要なところはなく、国民であれば誰にでも門戸が開かれているべきところが政治の世界のはずだからです。とりわけ、小選挙区制度になって、各選挙区からは政党の公認候補は一人しか出られなくなっています。公平な候補者選定プロセスでなければ、政界全体が細ってしまいます。

しかし、正直、それほど難しく考える必要はないと思います。世襲であれ、世襲でなかれ、最も適切で優秀な人材が候補者として選ばれる仕組みをどのように構築するか、ということを考えればいいのです。

たまたま親が議員だから、息子が跡を継いで議員になるというのはおかしなことですし、逆に、たまたま親が議員なので息子が候補者として立候補できないというのもおかしなことです。要は、世襲であれ、世襲でなかれ、公平に機会が与えられることが大切です。

そこで、良く素晴らしい実例として挙げられるのが英国の選挙制度です。私は、英国大蔵省で勤務していた当時、英国の政治行政をつぶさに学び、「英国大蔵省から見た日本」(文春新書)にまとめました。英国の世襲議員も世襲以外の議員も何人か知人がおります。

そんな私の経験からいうと、英国政治をめぐる我が国の議論は、やや正確でないところがあるように思います。例えば、「英国では世襲に厳しい制限があり、同一選挙区からの立候補は認められていない」とよく言われますが、これは、必ずしも正確とはいえません。

それでも、英国で世襲がないように言われるのは何故か。いくつか理由があります。

一つは、英国では2大政党制のもとで、総選挙ごとにガラッと議席が変わることがあり、世襲議員といえども落選する可能性が高いということです。

二つ目は、英国の政党は強い公認決定権を持っており、選挙区候補者を決定する際、世襲であれ、世襲でなかれ、最も優秀な人材を最も有利な選挙区へ配置する仕組みになっていることが挙げられます。

優秀な候補者で党として落とせない候補者だと考えれば、安全な選挙区を割り当て、これから鍛えるべき若手の候補者には厳しい選挙区を割り当てるといったことが、党主導で行われます。しかも、各選挙区では、厳しい公募・予備選挙のプロセスがあります。結果として、世襲議員が同一選挙区から立候補できる可能性は低くなる仕組みができあがっています。

これは世襲制限と言うよりは、党のガバナンス、候補者選定プロセスがしっかり確立されている結果だと言えます。

実は、自民党の場合も、候補者は原則公募で決めることが党の規則で決まっています。私のような人間が、前回の選挙で候補者になれたのも、この規則のお陰です。ところが、各選挙区の事情とか称して、公募を行わず親が息子を候補者に指名するなどということが公然と行われるために、世襲問題が起きて