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2009.06.11

事務次官との協議、政と官の接触制限

民主党の管直人代表代行が「事務次官と民主党との会議」を要求しているそうです。

 これは、英国で総選挙前に行われている仕組みです。ただし、それには前提があります。英国では政と官の接触が厳しく制限されているということ。拙著「英国大蔵省から見た日本」に詳しく書いてありますが、英国での政と官の接触制限は、大変厳しいものがあります。政府与党は官僚組織とその情報・叡智を自由自在に使える分、税金による助成や公用車などは、野党に集中的に配分されることになっています。

 

 実は、私は、日本でも「政と官の接触制限」を設けるべきだと主張して、渡辺喜美・元行革担当大臣にもその考えを取り入れていただき、公務員制度改革法案に盛り込んでもらいました。自民党内で反対意見もありましたが、何とか説得して国会に提出したわけですが、何と国会審議の過程で、民主党側から「情報が得られなくなる」といって、反対にあい、政と官の接触制限は見送られてしまいました。

 

 ところが、今更のように、民主党の代表代行が接触制限を言い出す。こういうのを御都合主義というのですね。

 ちなみに、この機会に紹介したいよい例があります。私は、役人時代、現在、年金問題で人気を博しているある議員の事務所に「●●を説明しにきてくれ」と呼び出され、「気に入らない答えしかしなかった」といって、廊下で2時間も立たされたことがあります。こういう例があとを絶たないのです。

 こういうことが起こらないよう、英国では、議員が役所に資料や情報提供を求める場合には、資料収集や情報収集にあまりに時間とお金がかかる場合には、その費用を役所側が積算して、議員に支払いを求める、あるいは拒否できる仕組みもあるのです。

 

 それほど、英国での政と官の接触制限は、厳しいのです。この前提なくして、単に、今度は事務次官との協議などというのは、不思議な話です。

 とは言っても、別に協議したからといって、困ることもありませんから、おやりになるのは自由だと思います。ただ、繰り返しになりますが、あまりに御都合主義と言わざるをえません。

 

 

 ちなみに、私が政と官の接触制限こそが公務員制度改革の肝だと主張し続けているのは、日本では、本来政治がすべきことの一部を官僚がにない(例えば、法案の根回しなど)、逆に本来は官僚がすべきことの一部を政治家がする(例えば、地元の公共事業の発注の調整)例があとを絶たず、政と官が入り乱れて、責任も指揮命令もあいまいになっているからです。


 よい機会ですから、根本に戻って、与野党で早急に合意を得て、政と官の接触制限を厳格化すべきときです。

 

 

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