2009.07.28
政治主導とは何か、最近あらためて考えます。
民主党がマニフェストを発表し、100人以上の政治家が役所に入ることを「政治主導」の目玉に据えています。英国を模範にしているようですが、英国大蔵省で2年間働いてきた私には、奇異にみえます。
というのも、既に、2001年の省庁再編時に、英国を模範に「副大臣制度」を創設し、大臣、大臣政務官と合わせて、1府12省庁に70人近い議員が政府に入っているからです。
民主党は、大臣補佐官という役職を新たに作るようです。この大臣補佐官なる政治家が新たに各府省に2~3人ずつ追加的に加わったからといって、政治主導が強まるわけがありません。しかも、大臣補佐官なる人々は経験の浅い1回生の議員などが中心になるでしょうし・・・。
ちなみに、英国では、我が国と同様の「大臣、副大臣、大臣政務官」に加えて、「議員秘書」という肩書で、与党の議員が役所に入っています。しかし、「議員秘書」は無報酬(もちろん議員歳費はありますが)で、役所には部屋も机もありません。事実上、役所に関係する仕事は何もしていません。実際、私も、英国大蔵省の議員秘書と言われる議員に、英国大蔵省で会った経験は一度もありません。
では、「議員秘書」って何なのといえば、次回の選挙のときに、「●●省議員秘書」という肩書を使えるというぐらいの意味しかないのです。
気心の知れた、気の合う民主党の若手の議員の方々と話していると、違和感を覚えるときがたまにあります。その多くがこの「政治主導」についてです。彼らは、「政治は万能だ」と思っているときがあります。
しかし、政治は決して万能ではありません。2~3人の政治家、それも経験の浅い若手の政治家が役所に加わったからといって、朝から晩まで正門分野の政策を一生懸命考えている役人にかなうわけがないのです。そこは、政治家の側に一定の謙虚さも必要だと思います。そういう謙虚さを持たずに「政治は万能だ」と思うことほど、むしろ危険で有害なことはないと思います。
では、政治主導を確立するにはどうしたらいいか。「政と官の接触を禁止する」ことにつきます。英国では、官僚は、自分の役所の大臣以外の政治家、仮に与党の政治家であっても接触が一切禁じられています。役人は大臣の部下であるということを徹底させるためです。逆に我が国では、官僚は、与野党を問わず、広く議員と接触し、役所の政策の説明や根回しをします。議員の方も、与野党を問わず、官僚に接触し、情報を得、政策の説明を受け、時には資料を作らせたりしています。
こうした政と官の積極的な接触を許しているかぎり、政治家は役所の設定した土俵の上で踊らされるだけです。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策