自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2009.11.19

事業仕分け第一弾終了

事業仕分けの第一弾が終了しました。

「事業仕分け」は、国レベルでは、私が事務局長補佐として参加した、自民党「税金の無駄遣い撲滅PT」の河野太郎チームで初めて取りいれられたものです。そのときも、今回政府の事業仕分けの事務局長を務める構想日本の加藤秀樹さんに、お手伝いいただき、今回と同様、マスコミに公開、国民の皆さまにも傍聴していただきました。ただ、我々の場合は、所詮自民党の中の一つの動きでしかありませんでしたが、今回は政府の動きでしたから、注目度は各段に高かったと思います。

多くの国民の皆様に国の予算に関心を持っていただいたという意味で、元祖「事業仕分け人」としては、この点、成功だったのではと思います。

他方で、我々の事業仕分けの際もそうでしたが、判断基準が曖昧だ、民間の仕分け人の立場がよく分からない、1時間で深い議論ができるのか、などなど、我々のときと同様に、様々な課題が指摘されます。事業仕分けといっても、判断するのは結局個々の人間ですから、どうしても主観が入らざるを得ません。少しでも主観を排して、如何にしてより客観的な判断ができる体制にしていくかについては、今後様々な工夫が必要に思われます。

いずれにしても、事業仕分けの結果はこれから実際の予算編成に反映されていくわけで、最終的な成否の判断は、年末まで見ないと分からないと思います。

ただ、民主党の事業仕分けを見ていて、一つ根本的課題があるように感じます。

事業仕分けというのは、①そもそも公的機関がやるべき仕事かどうか、あるいは民間に委ねるべき仕事か、②公的機関がやるべきとして、本当に国がやるべき仕事かどうか、地方に委ねるべき仕事か、③国がやるべきだとしても、もっと効率的なやり方があるのではないか、といった形で、正に国の仕事を「仕分け」していくものです。

スタートが、国がやるべき仕事かどうか、から始まりますから、出来る限り国の仕事を小さくしていこう、という、いわば「小さな政府」路線、「歳出削減」路線、「効率優先」路線の流れの中にあります。だからこそ、どうしても歳出削減を優先する財務省の移行が強く働きます。

しかし、ちょっと待てよ・・・・。そもそも、民主党は、2200億円のシーリン
グに代表される社会保障費抑制や地方交付税削減などの自民党の路線に対して、「財政主導でけしからん」とか「市場至上主義だ」といって強烈批判してきたのではないでしょうか。ところが、今回の事業仕分けでも、結局、社会保障費の根幹である診療報酬は「見直し」に分類されましたし、地方交付税も縮減とされてしまいました。また、スーパーコンピューターや宇宙ロケットなどすぐに効果の出ないものは、切り捨てられてしまいました。正に、財政主導、効率主義です。

本来、民主党の政治路線は、「事業仕分け」の路線とは対極にある部分ああります。この根源的な矛盾を年末の予算編成に向けてどのように克服していくか、注目していきたいと思います。

あと一点、金額の問題です。事業仕分けで3兆円という目標が出ていますが・・・。しかし、もう一度思い出すと、民主党は、マニフェストで約束した20兆円近い公約の実行には、増税も歳出カットもなく「予算の組み替え」で対応できると言ってきたはずです。ということは、麻生政権の予算規模88兆円の中でやりくりできるということです。

ところが、今では、95兆円の予算要求に対して事業仕分けで3兆円をやりくりして、92兆円にするといっています。これでは、4兆円がオーバーしてしまいます。

何となく、事業仕分けの華々しさに目を奪われて、3兆円という数字だけが独り歩きしている感がありますが、これでは、マニフェスト違反ですし、これを許してしまったら、国の財政は確実に破たんしてしまいます。

この点も、年末の予算編成に向けて、本当にどこまで歳出規模が圧縮され、国債発行が抑制されるのか、注目していきたいと思います。