自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2009.12.18

マニフェストと現実路線

 昨日は地元東村山市でミニ集会を開催しました。

 その中で、「今後、英国のように、日本に二大政党制が定着して、政権交代が起こっていくのはよいことだ」という意見をいただきました。

 私も、政権交代があるなかで緊張感ある政治が行われるのが望ましいとの立場です。


 ただ、英国モデルがそのまま日本に定着可能かというと、日本の場合は、かなりの努力が必要だと思います。

 英国で二大政党制が浸透しているのは、英国が階級社会だからです。信じられないことですが、今だに、階級を代表するスポーツがサッカーとラグビーなどと異なっていたり、階級が象徴する地域が異なっていたりします。

 米国も、南北での歴史的な思想の差が二大政党制を支えています。


 一方、我が国は、均一社会、単一民族の国柄です。にもかかわらず、政権交代可能な制度を作るという美名のもとに、小沢一郎さんが、英国をモデルに小選挙区制を強引に導入しました。だからといって、中選挙区制に戻すのは非現実的ですし、政権交代ある緊張感ある政治状況が日本の将来に必要なことも確かです。であれば、我が国は、より一層、二大政党政治にふさわしい理念の対立軸を国民の叡智で確立していかなければなりません。


 その際、自民党が対立軸をしっかり示せとよく言われます。それは正論で、野党に転落した自民党は、早急に、民主党との違いを明確化し、国民に提示しなければなりません。

 しかし、それ以上にいま大切なことは、民主党が「現実路線」という誘惑に負けず、自らの理念の下に国民に約束したマニフェストに徹底的にこだわることではないでしょうか。少なくとも、「現実路線」などという曖昧な言葉で、マニフェストで掲げた主要政策を放棄することがあっては絶対にいけない。


 そもそも、現実路線とは何でしょうか。実は、官僚機構が、政治の理念対立などに関係なく、営々として築き上げてきた官僚路線そのものなのではないでしょうか。マニフェストが選挙のときの票集めの道具としてだけ使われ、選挙が終わったとたん、「現実路線」という名の官僚主導が復活することになってしまったら、その先にあるのは、政治が、理念の対立ではなく、好き嫌いだけで対立する、今までどおりの姿です。それでは、この国の政治に未来はありません。

 昨今、業界団体の中に、支持政党を自民党から民主党に替えるところが出てきていますが、これも、政策というよりも、与党であるかどうかで判断するという、旧来の体質を示しているように思います。この体質が日本の政治から払しょくされない限り、二大政党など絵に描いた餅であり、小選挙区制導入も何の意味を持たなくなってしまいます。  


 本来、そのことを最も体感しているべき人物は小沢一郎さんです。その小沢一郎さんが、理念で動いていないことに、最大の問題があります。ご著書の「日本改造計画」で、自己責任、規制緩和、小さな政府を標榜し、実際、細川政権での規制改革会議で各種の規制緩和を導入したにもかかわらず、一転社会主義的主張に転じ、湾岸戦争の際に普通の国としての国際貢献を標榜しながら、テロとの戦いでは考えを曲げ、そして、党首討論導入、副大臣制導入と政府委員制度廃止などの国会改革を主導しながら、党首討論には応じず、副大臣による答弁も積極的に認めない。大学時代に「日本改造計画」をワクワクしながら読んだ我々世代にとっては、小沢一郎氏の変節は、政局優先、場当たり主義に思えて仕方ありません。


 今こそ、日本の政治に必要な理念の対立をしっかり持つときです。このブログでも、私が考える「保守」の姿を描いていきたいと思います。