2010.05.06
天下り問題がまた混乱しています。
天下り根絶を声高に叫んできた民主党が、郵政トップに大蔵事務次官OBを持ってきたりと、実際には逆の行動をとってきたと思っていたら、今度は、天下りをなくしていくために、官僚組織内での新たな高級スタッフ職の創設や独立行政法人などへの現役出向を始めるそうです。
官僚組織内での新たなポストの創設って、どこかの新聞が「内下り」って書いていましたが、単なるやけ太りだし、「現役出向」って、退職していくか、しないで行くかだけの違いで、確かに表面は天下りはなくなるけど、実態は全然に変わりません。
そもそも、こんなことしたら、給料の高い年配の役人ばかり組織に残ってしまうのですから、放っておいたら、人件費がどんどん高くなってしまいます。
「人件費2割圧縮」の民主党の公約はどうなってしまうんでしょう?と思ったら、新人の採用を半分程度に抑えるそうです。
でも、それでは、組織の形がどんどん逆ピラミッドに近づいていって、官僚組織の新陳代謝が進まず、どんどん活力が失われてしまいます。
困ったものです。なぜこんなことが起こるかというと、外面では「天下り根絶、、「公務員人件費2割削減」とかっこいいこと言いながら、実態は支持母体の官公労にきがねして、公務員への労働基本権付与、給与カットのための仕組みづくりなどの必要な課題を放置しているからです。「普天間問題」と全く一緒です。「県外、国外」とかっこいいことはいうが、その実態は何ら対応をしていない。
天下り問題の根源は、一人のトップを残して後は退職していく「早期退職勧奨」の実施にあると、よく言われます。民主党もそういう立場です。しかし、どんな組織でも、新しい血を入れ、活力を維持するためには、ピラミッド型をある程度維持していくことは必要なことです。
そのために「早期退職勧奨」は不可欠です。ただ、公務員の場合、早期に退職した後の第二の職場を自ら探せない、あるいは探そうとしない、という問題が残るわけです。50前後になって第二の職場を探せといわれても、確かに公務員にとってはなかなか難しいものがあります。なぜかというと、やはり公務員の世界と民間の世界とでは求められる技能や知識が全然違うからです。だから、公益法人とか独立行政法人など、少しでも公務員の世界に近い職場を天下り先として確保しようとする。
だから、天下り問題を語るためには、全く違うアプローチが必要です。私は、「43歳いったん定年制」が、解決の切り札と考えています。
大学卒業の新卒採用を前提として、20年後の43歳時点で、いったん退職をしてもらって、公務員としての資質が高く、組織の中での競争に打ち勝っていける人材を雇用しなおす。公務員としては今後の出世競争で必ずしも有為でないと思われる人材には、別の職場での再出発を促す。それでも残りたいという人には、「今後は給料がこれまでのようには上がっていかない、頭打ちになりますよ」ということを認識させて、人件費の高騰を招かない形で再雇用する。「よし次の職場で頑張ろう」という人には、1~2カ月程度の職業研修を行う。
要するに、後戻りが難しくなってくる50歳前後ではなく40歳時点で、いったんケジメというか、勝負をつけることがこれから必要になってくるのではないでしょうか。
いずれにしても、これからの政治には、天下り根絶とかっこいいことばかり言うのではなく、具体的な解決策を示していくことが求められています。
かっこいい公約と支持組織の温存という両立しえないことを追い求めて、その結果が官僚組織の活力低下では、一番泣くのは国民ということになってしまいます。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策