自由民主党・衆議院議員
木原誠二

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ブログ

2010.07.21

政治主導・

 国家戦略室が結局、何もしないまま、構想倒れとなりました。

 衆参ねじれが生じて、国家戦略室を局に格上げする法案が成立する見通しが立たないというのが表向きの理由です。ただ、これはちょっとおかしいですね。法案は衆参ねじれが生じていない、与党が衆参どちらでも多数を持っていた前国会に既に提出されていたにもかかわらず、与党が積極的に成立させなかったわけですから・・・。

 ところで、国家戦略室は英国でサッチャーが官邸に導入したポリシーユニットなどを参考にしたものとされています。民主党はて、このポリシーユニットが英国で政治主導が貫徹されるキーポイントのように喧伝してきました。あたかも、予算も税制も外交もポリシーユニットで担われているかのようなイメージが流され、国家戦略室もそういうものとして構想されてきたわけです。

 でも、それは違うんですね。

 ポリシーユニットは、省庁をまたがる問題や、省庁の仕事の狭間に落ちてしまって所管省庁がないような課題について、省庁という枠を超えて議論するためのものです。私自身、英国大蔵省時代、ポリシーユニットの会議に陪席させてもらったこともありますから、間違いありません。

 英国での政治主導は、そんなことで実現しているわけではありません。民主党の政治主導議論には何か根本的な間違いがあるように思います。器や組織の問題ではないんですね。要は、大臣がしっかりするかどうかです。

 予算編成、税制改正は財務大臣の仕事でしょ。外交は外務大臣の仕事。財務大臣が財務大臣の責任を、外務大臣は外務大臣の責任を、しっかり果たす以外に政治主導などあり得ないわけです。財務大臣や外務大臣を離れて、予算や税制、外交を議論する国家戦略室など、そもそも、政治主導と逆行していたんだと思います。

 ところが、国家戦略室は構想倒れにするけど、予算と税制について議論するための、官房長官、財務大臣、民主党政調会長による新たな枠組みを菅政権は作るそうです。こんなことしてたら、いつまでたっても政治主導など実現しませんね。

 もう一度言います。大臣が大臣として責任を果たす、それ以外に政治主導などあり得ないのです。

 ところで、今朝のテレビ見ていたら、予算編成の話題の中で、コメンテーターがこんなことを言っています。

「参議院選挙の大敗で、もう官邸主導はできなくなったんです。官邸が何をいったって国会を通らないわけ
ですから。党の力が強くなったっていうことです。その中でどうやって官僚主導を排していくのか」

 おかしいと思いませんか、最後のところ。「国会がねじれ状況になったから」、「党の力が強くなったから」、どうして官僚主導が復活するのか?全く論理的ではありません。とりあえず、「官僚主導は×」と何でもかんでもそこで結べば、コメンテーターとして務まってしまう。

 こんなことじゃ困ります。