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2010.11.08

尖閣、北方領土に見る ~ 政権交代の意味

各種世論調査で、菅政権の支持率が30%台まで急落しています。明らかに尖閣問題などが影響しているようです。確かにミニ集会などでも、民主党政権の外交について多く不安の声を聞きます。

他方で、私のツィッターやブログへ、「そもそもこれらの課題は自民党が解決せずに放置してきたものばかりで、自民党には民主党を批判する資格はない」という厳しいご批判もいただいております。ミニ集会でも同様のご意見をいただくことがあります。

確かに、尖閣諸島問題、北方領土問題のいずれも、自民党政権下でも解決されてきませんでした。反省すべき点も多々あります。

しかし、自民党政権下では、解決されないまでも一定の均衡状態を作りだすことには成功してきました。尖閣諸島については、日本固有の領土として実効支配を維持しながら、中国が表だって牙を剥く事態は回避してきました。北方四島についても同様です。今、問われていることは、民主党政権が、極めて稚拙な外交で、この微妙な均衡を完全に相手に有利にしてしまったことです。

ちなみに、均衡状態を作りだしてきたという意味は、尖閣諸島についていえば、例えば、ガス田開発で「万が一中国が掘削に乗り出せば、我が方も同様に掘削を開始する」とけん制を繰り返したり、油田の権益交渉でも対等であることを譲らないとか・・・、その都度その都度、我が国の立場を打ち出して、相手をけん制してきたという意味です。

そもそも、これら領土に関する課題を解決するには、残念ながら、最終的には軍事力しかありません。何故なら、中国もロシアもそう簡単に自らが領土と主張するものを手放すことはないからです。

大切なことは、武力衝突を回避しながら微妙なバランスを維持していくために、押しては引き、ひいては押す、巧妙な外交を行うことですが、そうした外交は今の民主党政権にはありません。

ちなみに、麻生政権の下で打ち出された「自由と繁栄の弧」という外交戦略があります。将来必ず膨張・暴走する中国を、中国を取り巻く「自由と繁栄」を望む多くの国々で、予め囲い込んでしまおうという、対中国戦略、中国囲い込み戦略そのものです。

その戦略を日本が主導しようとしたことに意味があり、麻生元総理が実際に諸外国を訪問して参加を訴えたことに、意味があります。

自由と繁栄の弧のメンバーには、モンゴルやインド、ASEANはもちろんのこと、ロシアまで含まれていました。

そう、自民党政権は放置してきたのではなく、平和憲法を持つ我が国ができる範囲内で、手を一つ一つ打っていたということです。





残念ながら、この「自由と繁栄の弧」という考え方は民主党政権は引き継ぐことなく、結局、一度は我が国に傾いたロシアすらも遠く対岸に追いやってしまいました。

政権交代とは、前の政権の課題を引き継ぐということです。前の政権のやり方が悪くて、自分達ならもっと上手くやれると思うから、政権交代を主張し、政権交代を果たすわけです。

「前の政権だって出来なかったじゃないかとか、前の政権が作った問題だ」とかという議論が出るようならば、政権交代は必要ないし、政権交代を求める資格も本来はないのです。

そして、外交についていえば、民主党は、前自民党政権を「対米従属でアジア軽視、官僚主導」と批判してきたわけです。その民主党が、日米関係をギクシャクさせ、重視したはずのアジアで足場を失い、未熟な政治主導外交で、日本の国益を多いに損ない、しかも、その責任を役人に押し付けようとしていることに、違和感を覚えるのは私だけではないのではないでしょうか。








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