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2010.11.09

TPP参加協議開始を決定

政府が、本日、TPP参加についての協議を開始することを決定したそうです。
そして、菅総理は、予算委員会で、「開国が一番大切」答弁。
元来、小さな政府論者であり自由主義経済論者の私としては、TPP参加は歓迎すべき方向です。
しかし、今回の民主党のやり方には、二つの懸念を感じざるを得ません。
第一に、TPPについて、政府内で十分な議論が尽くされたとは考えられないことです。むしろ、外交で失点を続け支持率が落ち続ける菅総理が、外務省や経済産業省の役人に美味しそうな球を投げられて、急いで飛びついたという印象です。
その結果、我が国が、TPPに参加して何を得、最低限何を守るのか、という戦略が全く見られません。「TPPは市場も投資も人の移動も100%自由化するもの」といった議論が見られますが、それであれば、参加国によるラウンド(交渉)を行う必要はないわけです。当然のことながら、参加各国が、何を守り何を得るか、自国に最も有利になるように、それぞれに戦略を練って臨むわけです。
その戦略を先に練らずに、APECで議長としてかっこいいことをしたいというだけの姿勢に、強い懸念を覚えます。「開国が一番大切」なんて陳腐な言葉しか出てこないところに、ああ総理は何も考えていないなと透けて見えてしまうのは私だけでしょうか?
少なくとも、我が国は、主食である米は守っていかなければなりませんし、人の移動についても慎重を期す必要があります。そのために、国内的にも参加決定までに打っていかなければならない対策が多々あります。
もう一点は、「国を開く」と菅総理、民主党政権に言われると、背中がかゆくなるということです。何故なら、小泉政権が進めた規制緩和や市場開放を、「弱者保護」という美名のもとで散々にこき下ろしてきたのは、民主党だからです。
ちなみに、その最大の象徴は郵政民営化への反対です。
ところが、TPPでは金融市場の開放も要求されます。民主党が政権交代を実現した2009年の衆議院選挙で掲げた郵政民営化への反対は、明らかにTPPとは逆行する動きです。
一体、民主党はこの問題をどう解決するつもりなのでしょう。
ここにも、今回のTPPがほとんどまともに議論されずに、得点稼ぎのためだけに利用されていることが現れていますし、民主党のその場しのぎの体質が浮き彫りになっています。

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