2010.12.14
法人税減税が5%減税で決着したようです、菅総理のご英断で!!
よかったよかったと胸を撫で下ろしたいところですが、一方では、所得税、相続税などの直接税の増税が目白押しです。
これでは、全く意味がない、と敢えていいたいと思います。
そもそも、企業の7割は赤字法人で法人税を払っていません。そう、法人税引下げの恩恵を受けません。でも、そんなことは大きなことではなくて、それでも法人税の引下げはやらなければなりません。
しかし、ちょっとうがった見方をすると、赤字法人とは言っても、役員や従業員には給料を支払っているわけで、所得税を引上げるということは、法人から取れない分をその法人に関係する個人から取るとも見えます。赤字法人であっても資産価値はゼロではありませんから、相続が発生すれば相続税負担が生じますが、毎年の法人税は取れないけれども、一回限りの相続税でガボッと取ってしまおうとも、見えます。
私自身は、こういうことを書くのは本当は好きではありませんし、実際そんな狭い了見ではないと思いますが・・・、何故敢えてこんなことを書くかというと、この法人税引下げに何ら背骨というか骨格が見えないからです。
日本の税制が抱える最大の課題は直間比率の歪み、所得税・法人税などの直接税に過度に依存した税制の体質です。直接税に頼りすぎることによって生じる問題は、①景気動向によって税収が著しく上下にぶれること、②個人・企業いずれについても、マイナスのインセンティブが生じやすいことです。
第二のマイナスインセンティブの存在はよく言われていることですが、第一の点は、こういう風に考えると理解がしやすいと思います。20世紀の日本での国の役割は主としてインフラ整備でした。したがって、税収が足りなくなれば、5年で造る道路を7年に延ばしたり、10年のダム工事を15年にしたり、税収動向によって歳出もある程度調整ができました。
しかし、21世紀の日本での国の役割は社会保障。税収が下振れしたからといって、年金額を突然減らしたり、医療受診回数を制限するわけにはいきません。
だからこそ、安定した税収が必要になります。その場合、直接税に頼っていてはどうにもならないのです。
その意味で、一方で法人税を引下げながら、他方で所得税・相続税を引上げるという、いわば直接税の世界でのプラマイゼロは全く意味をもちません。
何故、こんなことになってしまうのか・・・、消費税から逃げているからです。
それというのも、せっかく盛り上がった消費税議論を菅総理が選挙の道具に使おうとして潰してしまったからです。
本当に、この政権は罪作りだと、私は思います。
過去のブログ
木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策