2012.11.25
最近、マスコミからの候補者アンケートがたくさん事務所に届きます。
いつもながら、違和感を覚えるのは、ほとんどのアンケートが二者択一型になっていること。
典型的なのが、「関税を原則撤廃するTPPに賛成ですか、反対ですか」、「消費税増税に賛成ですか、反対ですか?」、「2030年代原発ゼロに賛成ですか、反対ですか?」といったものです。
しかし、そんなに簡単に割り切れるものなら、政治なんていらないんですよね。
例えば、TPP。
私は、どこのどの政治家よりも自由主義経済論者、自由貿易論者ですが、ことTPPについては、疑問をもたざるを得ないと感じています。その理由をいくつか挙げてみます。
第一は、TPPに入ることのメリットを感じないからです。もともとTPPを菅元総理が最初に言い出したときの理由は、「アジアの成長を取り込む」というものでしたが、アジアの成長センターであり、アジア市場の4分の3を占める中国も韓国もインドネシアもTPPには参加していないのです。アジアの国々でも参加しているのは、シンガポールやブルネイといった、どうみても、日本からの輸出が劇的に増えるとは思えないような国々ばかりで、「アジアの成長を取り込む」とはほど遠い状況です。
第二は、ということは、TPPは基本的に対米国の問題ということになりますが、TPPで日本から米国への輸出が増えるのかというと、甚だ疑問だということです。多くの製造業は既に米国での現地生産に軸足を移していますし、輸出倍増を目指すオバマ政権が日本からの輸出増加を黙認するとは、到底思えないからです。
第三に、メリットが見えないなかで、デメリットは大きいと感じるからです。デメリットの一つは日本の農業への打撃ですが、それ以上に大きな打撃が、例えば、公共調達の分野や医療分野、司法分野などに現れる可能性があります。
第四に、「バスに乗り遅れるな」という脅しともいうべき理由に違和感があります。中国や韓国あるいはインドネシアといったアジアの大国が既にバスに乗っているのであれば、それは乗り遅れてはいけませんが、そうではないのですから、バスは日本が間に合わなければ次の停留所で待ってくれるはずです。
あるいは、日本という上客が乗り込まなければ、運転手のアメリカもすぐには発車できないはずです。
第五に、そういう状況にもかかわらず、日本が参加すれば、米国と他のアジア諸国が手を組んで、日本の市場開放を求めてくることは明らかです。
繰り返しますが、私は、誰よりも自由貿易論者、国内市場開放論者ですが、TPPに諸手を挙げて賛成というわけにはいかないと感じています。
要は交渉次第ですし、日本が入れない限り、米国にとってはTPPは意味がなくなる以上、強い態度で交渉に臨めばいいのだと思います。
この考え方は、、アンケートでは、賛成ということなのでしょうか、反対ということなのでしょうか、いつも判断に迷うのです。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策