2013.01.05
安倍政権発足以来、インフレターゲットを通じた金融緩和と国土強靭化を目的とした財政出動という政権の経済政策の大枠が市場に浸透、期待感を醸成し、株高・円安を演出しています。株は震災前の水準を回復し、為替は、2年半ぶりの88円台前半。
安倍総理とそのブレーンが、政権獲得とその後の経済運営について、用意周到に準備してきたことがうかがわれます。
ところで、私は、安倍政権の歴史的使命は、金融緩和と財政出動による経済成長の効果を一部のリーディングカンパニー、あるいは投機家にとどめず、国民全体・経済全体に波及させることにあると、考えています。
小泉政権においても、第一次安倍政権においても、経済はそれなりに成長しましたが、結局、その果実は、一部の大手企業、それも輸出型の大手企業と、一部の投機筋にしかいきわたりませんでした。
しかし、日本の雇用の7割は中小零細企業が担っていますし、GDPの太宗を占める民間消費をけん引するのは家計、額に汗する働き手です。
小泉政権と第一次安倍政権からの貴重な反省は、経済成長の恩恵を中小零細企業、そして働き手に及ぼせなかったことにあります。もちろん、経済成長そのものに関心がなかった民主党政権とは比べ物にもなりませんが・・・。
もちろん、このことは、日本に限らず全世界共通の課題でもあります。だからこそ、安倍政権には、世界に先駆けて、市場経済に弱者支援のための一定のルール、仕組みを埋め込むことが求められています。もちろん弱者保護であってはいけません。「保護」ではなく、弱者を支え・育成・鼓舞するイメージ、「強さ」に加え「目線の低さ」が、New自民党には必須だと感じます。
とりわけ、今回の局面は、デフレからインフレへの転換、そして1年後には消費増税を行うか否かが問われている局面です。経済成長の果実が経済全体に及ばなければ、「インフレ下の格差拡大」、「恩恵なき負担増」といった形で批判が渦となり、政権は失速しかねません。
安倍政権が既に打ち出している、金融緩和、財政出動、成長戦略の三本の矢に加えて、この数年訴えてきたことですが、是非、四本目の矢として、中小零細企業対策、働き手支援を打ち出す必要があります。
具体的には、以下のような政策を一体的に打ち出していくことです。もちろん、全てがすぐに実現できるわけではありませんが、今後の党内議論の中で一つでも前進できるよう、全力で取り組んでいきます。
①大胆な金融緩和の効果を市場全体にいきわたらせるために、米国の地域再投資法(CRA(Community Reinvestment Act))同様に、地域金融機関に預貸率目標を設定させること。
②財政出動の効果を市場全体にいきわたらせるため、公共事業(調達)の入札制度を見直し、「地域の仕事は地域に」を徹底すること。
③大企業向けの研究開発減税、設備投資減税の一部を雇用減税に振り向けること。具体的には、23年度から導入されている雇用促進税制について、若年雇用拡大、非正規雇用の正規雇用化に重点を置きつつ、対前年で給与総額を引き上げた分の20%(大企業は10%)を税額控除するなどの仕組みに改め、拡充すること。
④サラリーマンの実額ベースでの必要経費範囲の拡大、自己啓発投資に対する税額控除の創設、中小零細企業の交際費課税の緩和、等を実現すること。
⑤今後策定される成長戦略の実施にあたって、産業転換を図ろうとする中小零細企業をリーディグケース、モデルケースとして徹底的に支援(例えば、「全国産業転換中小零細企業100社」など)すること。
⑥経済財政諮問会議又は経済再生本部に、中小零細企業代表を参加させること。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策