2013.02.10
政府と日銀の間で、2%の物価目標について協定が結ばれました。デフレ脱却に向けた大きな一歩を踏み出したことになります。
その一方で、依然として日銀法改正についての議論があります。
自民党では、山本幸三衆議院議員が会長を務める「デフレ脱却、円高是正を確実にする会」が、その中心的存在で、先週、先々週と、いずれも次期日銀総裁候補と噂されている岩田規久雄教授、伊藤隆俊教授をお招きして議論を進めています。実は、私は、この議員連盟の事務局長を務めています。
そして、先週金曜日には、日銀法改正を考える超党派の議員連盟の会があり、自民党・山本幸三議員、みんなの党・渡辺喜美代表、日本維新の会・小沢鋭仁議員、新党改革・舛添要一代表が、それぞれ共同代表に就任しました。私は、こちらの議連でも事務局を務めることになりました。
実は、1998年に英国で中央銀行法が改正されインフレターゲットが導入され、その実施を確かなものするために様々な議論が行われていた時期、英国大蔵省に出向しており、英国政府内の議論、マーケットの議論をつぶさに見ていました。当時、日本の行政当局に、日本でもインフレターゲットを導入することをレポートの形で提言していたことを思い出します。
何故、協定が締結できたのに、まだ日銀法改正なのか?
第一に、政府と中央銀行の共通目標にしっかりとした法的根拠を与えること。そのことによって、国民に対する政策運営の透明性を上げること。
第二に、法的根拠を与えることと表裏の関係ですが、説明責任を結果責任に格上げすること。現在、日銀は、2%物価目標に向けた取り組みについて「説明責任」を負うと表明していますが、「説明責任」だけでは足りません。大切なことは実行責任を負い、実現できないときには、「結果責任」を負うことにあります。
第三に、現在は、物価安定のみを目的としている日銀ですが、雇用をはじめとしたマクロ経済全体の安定も目的としてもらうこと。
これらに加えて、英国の経験からもう一点言えることは、財政との関係です。英国では、インフレターゲットを導入した1998年ごろから、財政政策を景気対策には使わない、むしろ中長期的景経済・気運営は金融政策を主体に行うというコンセンサスがなされ、そうであれば、イングランド銀行にも一定の民主的統制を及ぼさないといけない、という結論になったということです。その意味で、我が国でも、そろそろ、財政政策主体の経済運営から金融政策主体の経済運営に転換していく時期に入っていることを認識する必要があります。
ちなみに、政府に日銀総裁の解任権を与えるかどうかについては、日銀の独立性との関係、マーケットへの影響などを慎重に考えなければなりません。仮に解任権を与えるにしても、それを政府に付与するのか、国会に与えるのか、日銀の政策委員会に持たせるのか、など考えるべき点は多々あります。
いずれにしても、現実に、デフレ脱却に向けた道のりは、2%物価目標の協定締結だけでは実現されません。現実に、日銀の資金供給の方法に変化が出てくるかどうか、とりわけ、より長期の資金供給が現実に行われるかどうか、加えて、新しい日銀総裁にどのような人物が就くか、今後じっくり見極めなければなりません。
淡々と日銀法改正の議論は続けていきたいと思います。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策