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2020.04.16

雇用調整助成金について

小林史明青年局長と出演させていただいたカフェスタにおいて、「雇用調整助成金の上限の引上げを検討すべき」との私の発言について、どういう意味かとの問い合わせが多数ありましたので、再度ご説明させていただきます。

 

最近、ワイドショーや報道番組等で、頻繁に「英国は給与の80%を補償すると決めたんですよね。日本もちゃんとしないと」といった発言がなされることがあります。

「いや、ちょっと待ってください。これ日本の雇用調整助成金ですよね」、これがカフェスタで申し上げたことです。我が国は、もう1975年から、雇用調整助成金を運用してきています。

 

雇用調整助成金は、経済上の理由で事業縮小を余儀なくされた会社が、雇用維持のために従業員を「休業」扱いにする場合に、国から助成・補助をする仕組みです。従来は、助成率が中小企業2/3、大企業1/2ですが、今回の新型コロナウイルス対策では、中小企業4/5、大企業2/3に助成率を引上げるとともに、解雇を一人も行わない場合には、9/10つまり9割まで助成率を引上げることとしているのです。

 

実際には、「英国の8割よりも高い9割」が我が国の対応です。

 

こうした日本の雇用調整助成金制度と同様の制度を持っているのが、労働者の権利保護が進んでいるドイツやフランスといった欧州諸国で、両国も、新型コロナウイルス対応として、それぞれの制度の拡充を行っています。

逆に、米国や英国など解雇が日常的なアングロサクソン系の国では、こうした制度がなく、今回、イギリスはあわてて8割補償という新たな制度を作ったということです。

 

したがって、「英国は素晴らしい、よくやっている」といった手放しでの発言はミスリードと言えます。

 

ただ、カフェスタで申し上げたように、日本の雇用調整助成金制度には、新型コロナウイルスと戦う上で、更に取組むべき課題があります。それが、「上限の問題」です。

雇用調整助成金が助成するのは、給与そのものではなく、会社が支払う「休業手当」です。会社は少なくとも給与の6割以上を休業手当として支払わなければなりませんが、この最低水準ですと、9割まで助成率を引上げても、「6割×0.9」で実際の給与の54%しか補償されないこととなってしまいます。

 

そこで、例えば、会社には最低8割以上の休業手当の支給を促していくことが大切です。

加えて、雇用調整助成金には、1日あたり8300円という定額の上限があります。せっかく企業が8割以上、場合によっては10割の休業手当を支給しても、この8300円が天井になってしまう可能性があります。

そこで、新型コロナウイルス対応として、特例的にこの上限を大幅に引上げていくことを検討すべきではないか、ということをカフェスタでは申し上げたわけです。

 

加えて、雇用調整助成金は手続きの難しさ、書類の多さで有名な制度です。今般、手続きを大幅に緩和するとともに、迅速な支給が求められます。しっかりとした対応を厚労省そして現場に求めていきます。

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