3月31日付のブログで「」を書かせていただきました。
その後、様々なご意見をいただきました。今日は、いただいたご意見にお答えしつつ、あらためて、こども保険について、書きたいと思います。
いずれにしても、公的支出のバランスを高齢者中心・一本足打法型からより全世代・広角打法型に移しつつ、日本の最大のリスクの一つである「少子・人口減少」に社会全体で備えるという意味で、今回、小泉進次郎さんはじめ若手の皆さんが提言された「こども保険」は有意義な一石を投じてくれたと思います。この提言を題材しながら、議論を深めていければと感じています。
それでは、いただいた質問への私なりの(提案者そのものではないので)回答です。
①まず、「リスク」って何なの、というご意見。
日本社会は様々なリスクを抱えています、大規模地震が発生するリスク、為替リスク、北朝鮮リスク・・・。その中で、「少子化、人口減少」リスクは、社会保障制度の維持、経済成長の実現などに対する大きなリスクです。今回提案されている「こども保険」は、個々人が抱えるリスクに備えるというよりは、この社会全体が抱える「少子化、人口減少のリスク」を社会全体で支え合うものだと考えるのが妥当ではないでしょうか。
②やはり税でやるべきではないのか、保険にはなじまないというご意見。
先ず、保険になじむかどうかを考えたとき、前回のブログでも書きましたが、保険は、民間保険から公的保険、その中でも、医療保険、介護保険、地震保険、年金保険、子育て保険、様々なものがあります。いずれも一定のリスクに備えるものですが、公的保険の場合は、リスクへの備えに加えて、所得再分配機能が付加されるなど、その態様には様々なものがあり、保険は実に幅広い内容を含むものです。今回の「こども保険」も保険の一部として捉えることは十分可能ではないでしょうか。
もちろん、税、それもご指摘いただいたように消費税で行うことも可能ですが、税の場合は、歳入と歳出が必ずしも1対1対応するものではなく、確実に子育て支援に使われていることを明確にし、社会全体で「少子化・人口減少に備えている」ことを明確にするため、保険料で対応することには、意義があるのではないでしょうか。
③これ以上、現役世代が負担するのはおかしい、先ずは現役世代、特に親の所得向上を図るべきではないか。
おっしゃるとおりでして、現在、政府として、賃金上げや正規雇用化に全力を挙げています。この現役世代の所得向上については、更にスピードアップしていかなければなりません。しかし、そのことと、社会全体で「少子化・人口減少に備え」ことは矛盾しないのではないでしょうか。なお、中間低位層増大の問題、現役世代の所得が低下している問題については、で取り上げているので、ご覧ください。
④何故、年金の保険料に上乗せなのか?また、年金機構やGPIFに焼け太りさせるのか?
この保険は、年金のように積立金が生じるようなものではなく、かつてのグリーンピアのような無駄が生じることはないと思われます(提案者そのものではないので、詳細は分かりませんが)。その上で、何故、年金かというと、既にある仕組みを活用して、効率よく運営するためであって、あくまでも、これは、「こども保険」という新たな独立した公的保険です。
⑤全世代というけれども、高齢世帯は入ってないではないか。
日本の社会構造は、単純化すると、資産を持つ高齢世代と預貯金等の資産も少ない子育て世代という形になっています。しがって、高齢世代にも「少子化・人口減少への備え」に参加いただくことは必要だと思います。そのために、教育資金の贈与非課税措置などにも取り組んでいるところです。これに加えて、例えば、相続税を活用することなども考えられます。
その上で、こども保険として「少子化・人口減少に社会全体で備える」というのであれば、個人的には、シンプルに現役並みの所得のある高齢者も含めて、本当の意味で社会全体とすることの方がよいのではないかと思います。そうなると、システムとして活用するは年金ではなく、介護、健康保険を活用する方がよいのではないかと考えています。