2021.07.21
新しい資本主義を求める問題意識について、①「資本主義+民主主義を守る」、②「成長と分配の好循環を作る」に続く第三の問題意識は、③「多様性と変化に対応する」です。
かつての我が国には、終身雇用があり、系列がありました。終身雇用制のもとでは、社員への分配は一定程度会社の責任で行われてきましたし、系列の下で下請けや孫請けも一定程度の利益分配を確保されてきました。
しかし、今や、こうした日本的慣行は無くなっています。その結果、官ではなく民間が担ってきた福祉的役割は機能しなくなっています。そして、企業経営は、目先の利益最優先のROE経営へと収斂しています。
雇用慣行や企業経営手法の変化の一方で、フリーランスとして活躍する方、家族との時間やゆとりある生活を大切にパートでの仕事を選択する方、系列や企業グループにこだわらず独立独歩世界に打って出る中小企業、国民の側のニーズも多様化しています。
こうした変化は時代の要請によるところもあり、否定すべきではありませんが、変化に伴う様々な歪みについては、適切な対応が求められます。フリーランス、パート、兼業など働き方が多様化しているのに、正社員中心の分配構造のままでいいわけはありませんし、系列関係が崩れている中でのサプライチェーン内の利益配分は、競争政策の観点からもより適切なものにしていく必要があります。
何よりも、社会的セーフティネットについて、民間任せにせず、公的に強化・確保していく必要があります。そうでなければ、資本主義は単なる弱肉強食の世界に陥ってしまうからです。
以上、第一回の「資本主義+民主主義を守る」、第二回の「成長と分配の好循環を作る」そして今回の「多様性と変化に対応する」、こうした問題意識を持ちながら、新しい資本主義、人に優しい資本主義の構築に取組んできています。
では、こうした問題意識を踏まえた上で、新しい資本主義構築のために何をなすべきか。そこには、民(Private)の側からのアプローチ、そして公(Public)の側からのアプローチ、両面があると思います。
次回第4回目は、民の側からのアプローチについて簡単に説明したいと思います。
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木原誠二について
木原 誠二
衆議院議員・自由民主党 第20区支部長
自民党選挙対策委員長
5つの基本政策